こんにちは。ブック📚です。
今回紹介する本は伊坂幸太郎さんの
「マイクロスパイ・アンサンブル」です😀。
この話は、周りから虐げられていた少年が
その環境から逃げ出したところ、
スパイ組織の人と偶然出会い、
そのまま組織で活動する物語と、
就活中に彼女に振られ、その後就職して
社会人になった男性の物語が
同時進行で交互に進んでいきます😮。
もともとは、「オハラ☆ブレイク」という
猪苗代湖で開催される音楽とアートの
イベントで配布される小冊子として
執筆されていて、
年一回の開催にあわせて、
主人公たちも同じように
歳を取っていったら面白いだろうと、
物語も一年毎に進行しています。
< ※以下ネタバレ含みますのでご注意ください。>
就活中に彼女に振られ、社会人になった男性の話が
私たちが普段過ごす実社会での内容で、
スパイ組織で活動する少年の話は
「スパイ」や「敵地に潜入」など
私たちの実生活とはかけ離れた内容になっています。
はじめは別々の世界として書かれていて、
途中(五年目辺り)から二人の主人公が
実際に出会いますが、実は最初から
いろんなところでつながっていました。
例えば一年目。敵から逃げるためにセスナ機を
用意してもらっているはずだったが、
実際に用意されていたものは、
エンジンのないグライダー。
自力で飛べない。もうだめだ!と思っていると
突然グライダーがふんわり宙に浮いて
そのまま風に乗りスイスイ進んでいった。
一方、もう一つの物語ではふられた男性は
そのショックから一晩中ドライブし、
たまたまたどり着いた猪苗代湖で拾った
おもちゃのグライダーをそっと投げていた。
例えば二年目。
就職した男性が猪苗代湖で探し物をするために、
車のライトを明かり替わりにしていると、
ライトに向かって大量のカゲロウが飛んできた。
一方、もう一つの物語では敵に打たれて、
負傷した少年は敵に囲まれ、
絶体絶命とあきらめかけた時、
急に大きな光が照って、
カゲロウの大群が近づいてきた。
敵は驚きカゲロウを撃って、撃たれたカゲロウは
堕ちて敵の何人かが堕ちてきたカゲロウの
下敷きになっていた。
というように、実はスパイの世界は
実社会を中心に見ると小人の世界でした!
実社会をこっちの世界とすると
小人の世界はあっちの世界。
こっちの世界とあっちの世界は
偶発的に何かが揃ったときに
あらわれる扉でつながっていて、
行き来することができます。
揃うものはいろいろ。
組み合わせはいろいろあって、
正解はひとつではない。
また、こっち側の世界では、宝くじで当たった
一億円を寄付した男性の取引先に、
寄付された人がいて子どもの命救われていたり、
こっちの世界でくしゃみをしたら、
あっちの世界で敵が吹き飛ばされていたり、
どこがで何かがつながり、
知らずに誰かを助けている。
あれ?くしゃみをしたのは小人の世界の人??
ということは、
吹き飛ばされたのはもっと小さい世界の住人?
え?3つ目の世界が!
今見えているものが全てではない。
いろんな物差しがあって当然。
自分の目に見えるものを
自分の解釈だけで考えるのではなく、
もっと広く物事を見てみようと考えた
一冊でした。
文中に歌詞の引用がたくさん出てきましたが、
その歌を聞きこんでからもう一度読むと、
もっと楽しめるな、と感じました。