こんにちは社員いもです
リーブ21の社員7人(まめ,ごま,わかめ,やさい,
さかな,しいたけ,いも)が
表紙とタイトルだけで勝手に選ぶ
「これが本屋大賞だ!」
社員いもがタイトルと表紙で
本屋大賞に予想したのは
浅井リョウさんの「 正欲 」という作品です
(※以下ネタバレを含みますのでご注意ください)
タイトルの「正欲」という言葉。
読んで字のごとく、人間にとっての ”正しい欲” について
書かれているものと思って選んだはずなのに・・
と読み始めて後悔しかけたのですが、
まえがきの6ページで胸が熱くなり、
絶対最後まで読み終えるべき1冊だと確信しました。
主な登場人物は3人
不登校の息子を持つ検事、寺井啓貴
見た目にコンプレックスを持つ女子大生、神戸八重子
地元のイオンモールで働く契約社員の桐生夏月
一人の男性の事故死をきっかけに、
全く他人だったこの3人がつながってゆく、
元号が令和に変わるまでを描いた作品です。
現代の世間の風潮が個性や多様性を尊重する中、
その個性を更に分類した一部の人たちに対しては、
未だ嫌悪感を抱いたり、目を背けたりする
社会の矛盾を容赦なく突いてきます。
キーワードは3つ 「特殊性癖」と「多様性」と「水」です。
この作品のキーワードでもある「多様性」という言葉は、
私の中でも普段から引っかかっていて、
なかなか都合がよく曖昧で話す相手によっては
無意識に憚られる言葉だなぁと
ぼんやり感じていました。
一見弱者のためにある優しい言葉という印象ですが、
少数派の人たちにしてみたら、
実は秩序を保ったつもりでいる人たちの
キレイゴトでしかないんじゃないかと・・。
差別はダメ!とか、
マイノリティ派の人権についてもっと考えよう!とか、
そうやって声高に叫ぶ人たちはきっと、
そういう少数派の人たちが住みやすい世の中になるべきだ
という大義で起こしている行動だと思うけど、
少数派の中の、更に少数派の人たちみんなが
多様性を語る人たちに感謝しているわけでは
ないでしょう。
そういう人たちは寄り添っているつもりでも、
当事者は吊し上げられている気分になる
ということに気づかない。
イチイチ取り上げてもらわなくて大丈夫!
お願いだから放っておいて!
そう願っても、正しいことをしていると
信じて疑わない人たちは止まらない。
著者が表現する、そんなクソみたいな人たちから、
少数派の人たちが放っておかれるためには、
皮肉だけどクソみたいな人たちが暮らす
同じ価値観で創られた社会の一員に自分もなるしかない、
結局生きにくい世の中を雑音から遠ざかって生きてゆくには
それが一番の近道だと気づいた、そう書かれていました。
この本を語るのは本当に難しいですが、
私の勝手な解釈で言うと、
”多様性を多用すな!”です。
本当の意味での、人と人とのつながりとか、
共感出来る出来ないとか、
本質をうわべで語ることの愚かさとか、
この本を読むとよく理解できます。
このまえがきだけでも読んでみて欲しい、
その6ページで絶対最後まで読んでみたくなる本です。